機械加工トラブル分析

機械加工トラブル分析

平成27年度中災防データによると、金属製品製造業での労働災害は2179件、この中で金属加工用機械にかかわるものが25%を占めています。
工作機械のNC化率は高く、NCデータのミスによるもの、設定ミスによるものが大きな要因であろうと推定できます。wrongfactor

重大な災害や事故には至らないものの直結してもおかしくない一歩手前の事例を「ヒヤリ・ハット」ということがあります。労働災害件数の何十倍ものヒヤリ・ハットが機械工場の中で毎日のように発生していることは想像にかたくありません。

 

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工具衝突

NCデータのミス、あるいはマニュアル操作でワークや冶具、機械構造物に工具を衝突させてしまうことがあります。主軸損傷に至ることもある危険な事故です。工具干渉とも言われます。

 

 

工具折れ込み

ドリル加工やタップ加工では注意深く作業を進めていても、ワークに 折れ込んでしまう加工トラブルがしばしば発生してしまいます。
折れ込んでしまうと、ワークを新たに作り直すか、熟練者に除去を頼むか、放電で溶かすか、などで対処することになりますが、納期とコストと品質を考えるといずれにしても大きなロスになってしまいます。

 

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工具破損

被削材の種類、工具の刃数・材質・形状、冷却材、切削速度、回転数、切り屑の排出不良、その他の多数の要因で工具破損が発生してしまいます。予測と防止には熟練者の金属加工ノウハウが最も必要とされます。
工具干渉によっても破損してしまいます。

 

主軸損傷

工具干渉やホルダ干渉、構造物干渉が起こってしまうと主軸までも損傷してしまうことがあります。
修理費も高額ですが修理中は機械が稼動できないので経済的なロスは甚大です。

 

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切り屑の排出不良

切り屑排出は穴あけ加工の重要な課題ですが、被削材、工具、冷却剤、切削条件などよってその状況は変化してしまいます。切り屑が詰まると、ドリルが径方向に振られてしまって、加工寸法や工具の寿命に悪い影響が出ます、また工具の破損に至ることもあります。

 

穴径不良

ドリルが穴方向に正確に入っていないとブレで偏心状態となってしまい、結果として穴径が大きくなってしまいます。

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突出し不足

工具の撓みやびびりを押さえるためには、突出し長さをギリギリまで短く抑えたいところですが、短すぎるとホルダ干渉を起こしてしまいます。切削シミュレータなどの突出し算出機能などを利用すると最短の突き出し長さを教えてくれるので、ホルダ干渉を回避することができます。

 

タップもれ

穴数が多い加工ではタップ忘れがしばしば起こってしまいます。
特に穴位置がランダムに配置されている場合は確認中にチェック済みかどうかが分からなくなってしまい、つねに不安が残ります。

機械的に穴加工をチェック・レポートしてくれる切削シミュレータなどのソフトウェアの導入が必要になります。
座ぐり忘れにも同じことが言えます。

 

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内径切削干渉

旋盤の内径切削では工具の侵入の様子を確認しづらく、しばしばホルダ干渉が発生してしまいます。

切削シミュレータがこの干渉を自動で検出してくれます。
また干渉回避の方法を探るときにも、断面表示をしながら内径加工の工具動作とワークの状態をリアルタイムに観察できるので切削シミュレータが大いに役立ちます。

 

 

NCアラーム停止

工具径補正のアラームやNCマクロアラームなどが発生するとNCアラーム停止となり、機械の稼働率低下の原因ともなります。

 

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CAMは正確に
工具パスを出してくれますが
熟練技術者の持っている加工ノウハウを
自動的に NCデータ化 してくれるレベルには
至っていないと思います
工具の撓みやびびりを抑える、切り屑を排出させる
バリを出さない、深い穴を精度よく加工する
工具を長持ちさせるなどなど
まだ熟練技術者にしかできないノウハウが多く有ります
これらのノウハウが日本の高精度な加工を
支えているとも言えますが  !!


ノウハウには

良い面と悪い面があります
熟練技術者は高品質の製品を作れるが
そうでない作業技術者にはできない
というバラツキが出てしまいます
このノウハウをCAMに取り込もうという試みは古くからあり
一定の成果も得られていますが
まだ満足のいくものではありません
金属加工の難しさが
これを阻んでいるんです

NCデータのミス

CAM化が進んでいる現在、なぜNCデータのミスが無くならないのでしょうか?

NCデータを作成する方法は多様化しています

  • 手入力のNCデータ
  • CAM・対話型を利用
  • NCマクロ利用
  • CAMとNCマクロの混用

NC工作機械の初期から行われている手入力方式は現在でも多くの工場で行われていますが、

対話型やCAMが主要な作成手段となってきているのは間違いありません。

また類似形状加工の多い工場ではNCマクロのテンプレート化やサブプロライブラリー化で効率よく高品質な加工を実現しています。

CAMでNCデータを作成すれば加工は簡単だと思ってしまいがちですが、被削材は多様でその性質も、硬い/柔らかい、だけではなく、脆い/粘っこい、あるいは切り屑の排出が善い/悪い、などとても複雑なので実際の加工はそう簡単ではありません。

実際の加工現場では、切削条件を変えながら、音を聞いて振動を感じて切削条件を探し出していく作業が欠かせません。

その過程でNCデータを変更しているのでNCデータでの最終的な検証作業が必要になります。CLデータでの検証では不十分な理由がここにあります。

操作・設定値ミス

工具が指定のポットに入っていなければ、工具補正量が正しくセットされていなければ、ワーク座標の設定が間違っていたら、ワーク位置や向きが間違っていたら、いくらNCデータが正しくてもこれらは品質不良を引き起こしてしまいます。場合によっては干渉事故にもなり得る重大なミスになります。

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ヒューマンエラー

CAMでNCデータを作成したとしても、CAMへの入力データに誤りがあれば正しいNCデータは得られません。
作成方法の種類にかかわらずNCデータのミスはすべてヒューマンエラーに起因するとも言えます。